2022 年 12 月 25 日

・説教 ルカの福音書2章8-20節「恐れるな!」

Filed under: 礼拝説教 — susumu @ 07:18

2022.12.25 クリスマス礼拝

鴨下直樹

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午前10時30分よりライブ配信いたします。終了後は録画でご覧いただけます。


 
 今日、私たちは25日のクリスマスの朝に、こうして教会に集い、み言葉を耳にしています。今朝私たちに与えられている聖書は、「恐れることはありません」と語りかけています。

 これは、御使いが夜番をしている羊飼いに語りかけた言葉です。今朝は、この「恐れるな」という言葉を考えるところから始めてみたいと思います。

 羊飼いというのは、この地域では最も弱い立場の貧しい者たちでした。夜、暗闇の中で羊を襲う獣や盗賊と戦うのが仕事です。命がけの仕事なのに、身分が低いのです。

 今回カタールで行われたワールドカップは、暑い夏をずらして冬の開催となりました。12月でも、カタールは温かいのです。そんな中で、スタジアムの建設に当たった人たちは、貧しい出稼ぎの人たちでした。ドイツの友人から聞いたのですが、すでに10月の時点で、3000人以上の死者がこの過酷な労働のために出ているということでした。そのニュースを知ったヨーロッパの人々は、今回のワールドカップに抗議するために、テレビを見ないという運動をして、そういう人がかなりの数になったのだそうです。人のいのちを使い捨てのようにするやり方に、多くの人々が異を唱えたのです。

 このクリスマスに出て来る羊飼いは、このような貧しい人々を代表する存在として神様はお選びになりました。現代も、羊飼いという職業ではなかったとしても、さまざまな羊飼いのような立場の人たちがいることを私たちは考えさせられます。カタールで働いた労働者たち、また戦争のために暖もとれないウクライナの人たち。また今回大雪で、もう一週間近く停電のままでの生活を強いられている北陸の方々があります。あるいは、一人暮らしで孤独を覚えておられる方、病の中で苦しんでおられる方、さまざまな人たちがいます。羊飼いは、そのような弱さを覚えておられる方の代表と言えるのです。

 羊飼いたちは、その夜も夜番をしていました。眠気と戦いながら、周囲に気を配り、羊たちの面倒をみるのです。過酷な仕事です。今のような電気の柵が張り巡らされていて、羊が逃げ出したり、野獣が入って来たりすることがないような環境ではないのです。

 そんな羊飼いたちのところに、突然天が開け、まばゆいばかりの光が降り注ぎます。この時のことを9節はこう記しています。

すると、主の使いが彼らのところに来て、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。

 天使の登場と共に主の栄光が周りを照らしたのです。それを見た羊飼いたちは、非常に「恐れた」と書かれています。

 羊飼いたちが日常的に抱えている恐れは、狂暴な野獣が現れることでしょう。自分のいのちの危険を感じる時に恐れを覚えるのです。そうであれば、この恐れは私たちにもよく分かるのです。私たちは、子どもの頃から暗闇の恐怖を感じるものです。

 特に、怖い映画か何かを見ますと、いつも夜中に一人で行けるトイレさえ、怖いと感じることがあるものです。得体の知れないものがどこかから出て来るのではないか、そんな不安があります。けれども、ここで、羊飼いたちが感じた恐れは、その手のたぐいのものではありませんでした。もっと、本質的な恐れです。

 目の前に現れたのは、暗闇を打ち破るほどのまばゆいばかりの光です。そして、そこにはどんな姿であったのかそれ以上のことは書かれていませんが、御使いがいたのです。人の姿をした存在だったと考えられています。

 そこで、羊飼いが感じた恐れは、いのちを脅かされる恐怖ではありませんでした。聖いものの前に出る時に覚える畏れです。自分の卑しさを知らされたのです。羊飼いたちの心の中に、自分を卑下したくなるような、そんな思いが染みついていたのかもしれません。けれども、この自分は貧しい者でしかない、自分は聖なるお方の前に出るのにふさわしくないと感じる、そのような畏れは、決して主なる神が嫌われる思いではなかったはずです。

 御使いは羊飼いたちに告げました。まず10節です。

「恐れることはありません。見なさい。私は、この民全体に与えられる、大きな喜びを告げ知らせます。」

 「恐れることはありません。これは民全体への喜びの知らせです」とまず、御使いは告げました。民全体の代表として、あなたがたを選んだというメッセージが、ここで当たり前のように告げられています。これは、民全体への知らせ、しかも大きな喜びの知らせを、全国民を代表するあなた方に知らせますということです。

 この世の王や、大臣や、商人たちでもなく、雇い主や、一族の長でもないあなたがたに、この知らせをまず知って欲しいと思っているのだという、神のメッセージがここにはあります。それは、まさに、この世界にいる、今どんな暗闇の中にいる人のことも神は見ておられるというメッセージです。
 神は、暗闇の中に潜むようにしてうずくまっているものを、見ておられるお方です。来年のローズンゲンを先日、みなさんにお届けました。来年のみ言葉は、「あなたはエル・ロイ!」と呼んだ主の御名が年間聖句になっています。

 この「エル・ロイ」というのは、「見ておられる神」「顧みられる神」という意味です。 (続きを読む…)

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