・説教 ローマ人への手紙8章28-30節「御子のかたちと同じ姿に」
2022.01.16
鴨下直樹
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神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。
この言葉ほど、多くの人に希望を与えたみ言葉はありません。このみ言葉は「すべてのことがともに働いて益となる」と言っています。簡単に言うと、何をやってもうまくいくということです。私自身も、この聖書のみ言葉を、神学生の時から自分の最も好きなみ言葉に選んできたという経験があります。今思い返してみても、やはり、「すべてのことが共に働いて益となる」というこの言葉に魅力を感じていたと思います。
けれども、改めて考えてみると、この聖書の言葉はそういう私たちにとって都合の良いことが書かれているのでしょうか。
少しこの箇所の前の所に何が書かれていたのかを、もう一度思い起こしてみたいと思います。この前に書かれていたのは、三つの「うめき」が記されていました。被造物のうめき、私たちのうめき、そして御霊のうめきです。主は、この三つ、三者のうめきを聞いておられ、弱い私たちのためにとりなしてくださるお方であると語られていました。
私たちにとって本当に必要なものを主は知っておられるのです。その流れで、「神を愛する人々」と今日の箇所が続くのです。
「神を愛する人」というのは、神に望みを抱いている人のことです。困難の中にあって神が最善をなしてくださると信じる者のことです。つまり、この神を愛する人というのは、キリスト者のことです。ここで言うキリスト者というのは、自分の願うことを叶えて欲しい人という意味ではありません。キリストのものとなっている人という意味です。もっといえば、神のご計画に身をゆだねている人のことです。
もう一度、この28節を読んでみましょう。今日のところにはこうあります。
神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。
このみ言葉が語ろうとしているのは、私たちが最初にイメージする、何があってもうまくいくということとは正反対の意味で記されていることが良く分かります。ここで言われているのは、私たちの願い事を、なんでも神がすべてのことを働かせてうまい具合にしてくださるという意味ではなくて、神のご計画に信頼している者は、まさにその神のご計画が働いて、それは神にとって最善がなされることを私たちは知っているという意味です。
神のご計画は、私たちの思いや願いを超えて、神にとってすべてのことが益となるようにしてくださっているのだということを、私たちは知っている、信じていると言っているのです。
先週、私は教会の皆様に何度も祈りの課題をお願いしました。みなさんも心を痛めながら祈って来られた一週間であったと思います。月曜に葬儀がありました。そして、水曜と、昨日、教会員のお父様が亡くなられたというお知らせをいたしました。その知らせにもある方が、神のご計画は私たちには理解できないけれどもと書いてくださった方がありました。書かれたのはTさんです。Tさんのお父さんは福島県の郡山で牧師をしておられます。このT牧師は長い間がんと闘ってこられる中で牧会を続けて来られました。今もう末期というところまで来ております。Tさんは医者ということもあって、家族で相談して最期の時になるかもしれないということで、この週末家族で郡山まで会いに行かれています。
私たちには、何が神の最善か分からないところがあります。私たちの願いはいつも、神がすべてを働かせてくださって、病んでいる人を癒してくださって、もう一度健康が回復されることです。それ以外にはないとさえ思うのです。
けれども、パウロは語るのです。
神を愛する人たち、すなわち、神のご計画にしたがって召された人たちのためには、すべてのことがともに働いて益となることを、私たちは知っています。
私たちには分からないことがある。このことも知ったうえで、しかし神はこの不安も、心配も、悲しみも全部含めてすべてのことが神にとって益となるということを信頼することができるようにされているのです。
ではその「神のご計画」というのはどういうものなのでしょうか。 (続きを読む…)