説教:マタイの福音書12章22節―37節 「真実の言葉をもって」
2011.6.5
鴨下直樹
私たちの教会には、他の教会にないいくつかの特徴がありますが、その一つは何と言っても俳句の句会が行われていることでしょう。毎月新しくこの会に加わってくださる方が起こされていまして。とても賑やかな、楽しいひと時です。
ところが、会がはじまりますと、みんな黙ってまわってきます俳句を次々に書きとめます。良いと思った句を書きとめて行くわけです。それで、最後に自分が選び取った句を詠みあげますと、誰が書いたかという名乗りを上げます。その時まで誰が書いた句であるか分かりません。昨日も中にいくつも面白い句がありました。
「大百足(おおむかで)滅多切りして礼拝へ」
礼拝に来る前に大百足が出たのでしょう、それを切り刻んでから礼拝に来たというのです。私はすぐに教会に来ておられるある男性の顔を思い浮かべながら一人で笑い堪えるのに必死でした。この句は何人かの方が選んだのですけれども、これは教会の執事もしておられて、同人でもある古川昭子さんの句でした。ちょっと意外だったのです。
すると、すぐに疑われた方が、「『人は見かけによらん』と昔から言うではないか」と言って、みなで楽しく笑いました。見かけによらずあの人はずいぶん厳しいことを言うなどということは実際にあるわけで、その意外性にびっくりいたします。俳句の場合はこの意外性がまた面白いところであるのかもしれません。 (続きを読む…)