・説教 ルカの福音書10章1−16節「羊とオオカミ」
2023.11.19
鴨下直樹
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今日は、子ども祝福式礼拝です。私たちの教会にこうして多くの子どもたちが集まってくれているのは、教会として大きな祝福です。
今日は、羊とオオカミというタイトルにしました。今日の聖書の言葉の中に、主イエスが言われたこんな言葉があります。3節です。
「さあ、行きなさい。いいですか。わたしがあなたがたを遣わすのは、狼の中に子羊を送り出すようなものです。」
主イエスは、ここで72人の弟子たちを伝道に送り出されます。そこで、言われたのが、この言葉です。主イエスの弟子たちに対する愛に満ちた言葉です。
すでに、9章で主イエスは12弟子たちを伝道旅行に送り出していますが、ここではさらに多くの弟子たちを伝道に派遣するところです。
主イエスからしてみれば、弟子たちのことが子羊のように可愛くて仕方がないです。この子羊が遣わされていくのは、狼の中に送り出すようなものだと言われました。
きむらゆういちさんの書かれた絵本で「あらしのよるに」という本があります。ご存知でしょうか? この方はいろんな絵本を書いている方で、主に赤ちゃん向きの絵本が多いのですが、この絵本は小学校低学年向きの絵本です。また、大人にも人気のある作品です。出てくるのはオオカミとヤギの話です。
ある嵐の夜に、ヤギは嵐を逃れるために山小屋で一夜を明かすことにします。すると、そこに、もう一匹が嵐を逃れるために山小屋に入ってくるのです。小屋の中はまっくらで相手のことが見えません。そこに入ってきたのはオオカミだったのですが、お互い、そのことに気づかないで、仲間だと勘違いしたままの言葉の掛け合いが、実にスリリングで面白いのです。その嵐の中で、二匹は仲良くなります。そして、あくる日、一緒におひるごはんを食べに出かけようと約束して終わるのです。
この続きの2巻は、「あるはれたひに」というタイトルです。翌日は、すがすがしい天気を迎えます。おひるごはんを食べる約束をした二匹は、お互い顔を合わせてびっくりします。そんな中で、二匹はえさ場まで歩いて向かうのです。その時の会話もまた、スリリングで、ユーモアにあふれています。ヤギがいつ食べられてもおかしくないという緊張感の中で物語が進んでいくのですが、ヤギにできることはオオカミを信頼するということしかできないのです。この物語の中で二匹はとても仲良くなっていくのです。物語はシリーズを重ねて第七巻まで出ています。
この物語に多くの子どもや大人が惹かれるのは、ありそうもない話だからです。けれども、同時に、そんなことが起こったら楽しいだろうなと思うのです。
オオカミには力があります。その持てる力で相手を恐れさせることによって、オオカミらしくあることができます。力を持つ者が、上にたつことで優位さを示そうとするのは普通です。そして、この世界では残念なことですが、誰もがこのオオカミのような力を手に入れたいと願いながら生きているのです。
ヤギのようになりたい。今日の聖書の言葉でいえば羊のように生きたいと思う人はごくわずかしかいないのです。 (続きを読む…)