2009 年 6 月 21 日

・説教 「エデンの東から帰る道」 創世記4章1-16節

Filed under: 礼拝説教 — miki @ 13:15

鴨下直樹

  先週、私たちの教会の新会堂三周年を記念して、ドイツ教会音楽と聖書という題で、ドイツの賛美の話、主に、宗教改革者ルターのコラールの話しをいたしました。今週も礼拝の後で、岐阜県美術館の館長であり、私たちの教会の教会員でもある古川秀昭さんが、新しい会堂が出来た時から初めておられる「キリスト教美術講座」が行われます。今回のテーマは、フラ・アンジェリコの受胎告知をテーマに選ばれたようです。

 以前も一度礼拝の説教において、この絵について触れたことがあります。おそらく午後、古川さんが丁寧にお話しくださると思いますけれども、このアンジェリコは何枚も受胎告知の絵を描いております。受胎告知といいますのは、処女マリヤが御使いガブリエルから、神の御子を宿すということを告知されます。この場面を描いたものです。この受胎告知のテーマの絵に、アンジェリコは楽園追放という出来事を背景に描いているものが何枚もあります。マリヤが御使いのお告げを受けている背後で、アダムとエバがエデンの園から追い出されてしまう。この神の園から追い出された人間の悲しみが、主イエス・キリストの降誕によって回復されることを描きだそうとしたのです。

 今日、私たちに与えられている聖書は、この楽園を追い出されたアダムとエバの子孫がどのようになったのかを描き出しているところです。神の支配する世界から追い出されてしまった人間が、神なしで世界を造る。その最初の出来事としてこの創世記第四章がおかれているのです。そして、このときから、御使いがマリヤに救い主を与えると宣言されたその時に至るまでの、人の悲しみの源が、ここに描かれているといってもいいのです。

 

 アダムとエバの新しい生活がはじまります。新しい生活という言葉を聞きますと、誰もが、何か楽しげで、これから何が起こるかというような期待を思い浮かべますけれども、果たして、アダムと、エバにとってはどうだったのでしょうか。 (続きを読む…)

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